鉄で花を咲かせよう
鋳鉄制作に発揮されたギマールのすぐれた技量は、たちまち彼をこの分野におけるまぎれもない専門家にした。
彼の手がけた製品は、オート=マヌル県のサン=ディゼイエ鋳鉄製作所によって、『ギマール様式による建造物、暖房器、庭園用品、墓碑のための芸術的鋳造品』という愛すべき名称の下に頒布されることになる。」(フランソワ・ロワイエ『アール・ヌーヴォーの建築』フランク・ラッセル編・西澤信彌訳A・D・A・EDITA1982年)
ギマールがロートアイアンからつくりだした植物世界はあまりにエキセントリックであったために、激しい批判を受ける。
1904年に設計した地下鉄オペラ座広場駅は、美観をそこねるという理由で、取り壊されたほどであった。
鉄の花を咲かせたい、という世紀末のアクロバティックな試みは、その短い夏を終えるのである。
アール・ヌーヴォーは、鉄を構造と装飾の両面において使っている。
おそらく、鉄にこれほど楽しい表現を与えたスタイルはあまりないだろう。