ヘビ目とかき氷の思い出1
高校時代の部活動の顧問のお話をしたいと思います。
御前崎信一は、大仏のように切れ長の目じりと、その奥にひそむ、白目がちの三白眼のせいで、「ヘビ目」と呼ばれて、生徒たちにおそれられていた。
彼は、私が高校のとき所属していた軟式テニスクラブの部長である。
私はよく、コートで、その御前崎コーチに、「ラケットのグリップはやさしく握れ。鳥のヒナを……そうっと握るようにな」
などと注意されたが、そんなときも目つきだけはまるで、「ヒナを握りつぶすくらい握りしめろ」といっているように怖かった。
いや、怖いのは、目つきだけではない。
彼の作る練習メニューのきつさはサディスティックといえるほどだ。
それは、私が二年生の夏休みのとき、軽井沢のテニス合宿にコートを移しても変わらなかった。
緑の山と高原野菜の栽培地に囲まれたのどかな風景にも染まらずに、「さあ、前衛は、百本ボレーだ」とか、「後衛は、ベースラインを狙って、ロブを百本決めろっ」とか号令しながら、自分でも、一年生を一人ずつしごいている。
そんなとき、私の目はいつのまにかコーチを追っていた。
スライスサービスをサイドラインぎりぎりにうちこみ、相手がレシーブできずに転んだりすると、すりむけた膝に血がにじんでいるのに、その倒れた体にさらにボールをぶつけるという、スポーツ根性マンガでしかありえないことを現実にやってのけるのだ。